クリスチャン・マークレー展もみた
@January 27, 2022
自分は、ただ現美の近くに住んでいるだけで、現代美術に強い興味や広い深い知識があるわけでもなく、クリスチャン・マークレーってなんか聞いたことあるな、あれ?ファッションの人じゃないっけ?あ、あれはクリスチャン・ラクロワか。あ、音楽じゃね?と、展示をみたら、音楽じゃなかったのかと家に帰って、改めて調べたら、その人だった。くらいの知識。
という人間が11月と1月に計2回展示をみて、気にいった&気になったのは、「ビデオ・カルテット」という作品。
映画からサンプリングしたと思われる、声を出したり、楽器を演奏したり、音を鳴らしたりする映像+音が、横4連で設置されているスクリーンに「カルテット」的に次々映されるもの。
美術館に展示されている映像作品を、最初から最後までしっかり見る、という経験はほとんどない私ですが、これは見た。見ちゃった。
見ている最中も、見終わったあとも気になったのは、権利的なやつって大丈夫なのかしら?日本にはないと言われてるフェアユース的なやつかしら?ということ。さらに、作品の最後に横スクロールで流れてきたスタッフロール?的なものに、堂々と©Christian Marclayとなっていたこと。
日本語でかるく検索してもなにも出てこなかったので、英語でもみてみると、作家本人のインタビュー記事が。
Did you have any legal problems about all the clips you use in Video Quartet? In general, do you ever have to deal with any legal issues about appropriation?
(以下deeplにぶっこんだ訳) Video Quartetで使用しているすべてのクリップについて、法的な問題はありましたか?一般的に、流用に関する法的問題に直面することはないのでしょうか?
という問いに対して、作家ご本人は
I’ve never had a problem. In legal terms it falls into the “fair use” category. I’m okay as long as I do something that’s creative, that’s different, that doesn’t say, This is mine. By including the image with the sound, I make the source even more recognizable. Legally it’s a little delicate, because I’m dealing with such iconic movies. But we live in an urban environment where we get so bombarded with sound and images that we don’t ask to see or hear—we can’t escape that stimulation. So to me Video Quartet reflects my environment, the culture I live in. This is the city I walk in every day. where I see and hear so many things at once. They are as much a part of life as anything else. We breathe in this stuff; why shouldn’t it come out transformed?
(以下deeplにぶっこんだ訳) 問題が起きたことはありません。法律的には「フェアユース」の範疇に入ると思います。創造的で、他とは違う、「これは私のものだ」と言わないようなことをしていれば大丈夫です。音と一緒に画像を入れることで、ソースをより認識しやすくしています。このような象徴的な映画を扱っているので、法律的には少し微妙です。しかし、私たちは都会に住んでいて、見たい、聞きたいと思わなくても、音や映像が氾濫していて、その刺激から逃れることができません。ですから、私にとって『Video Quartet』は、私の環境、私の住んでいる文化を反映しています。これは私が毎日歩いている街で、一度にたくさんのものを見たり聞いたりします。それらは他の何かと同じように生活の一部となっています。私たちはこのようなものを吸い込んでいるのですから、変形して出てきてもいいのではないでしょうか?
と答えている。
つまり
- 特に問題は起きていない
- 「フェアユース」の範疇である
- クリエイティブな行為をちゃんと行って、他の作品等とは違うものを作って、自分のものだと言わなければOK
という認識の様子。 だとすると、ますますわからないのは、©Christian Marclayというのは、”This is mine” 自分のものという意味じゃないんだっけということ。いや、サンプリングしてる1つ1つの映像のことを “This is mine”って言ってないわけじゃないっすよね。この作品にケチをつけようとかそういう気ではなく、なんかいろいろ無駄に深読みしちゃうじゃんという話なんですが。